2012年4月25日水曜日

ティモール島 女性の手仕事

昨日、人形町を散策中ひだり手に、目を引く日本家屋が。
門構えからとても落ち着きがあり、格子の木製の戸は開けられていて手入れの行き届いた前庭には、入り口へと石が敷かれ黒くしっとりとした石段にきれいに花が配されていました。

こんなにきれいな庭を手入れしてる住人の人はどんな人かなあ・・・。と思っていると、その家の手前のスペースをギャラリーとして貸している様子なので、中に入ってみることにしました。
庭には、どこかで見たことあるような糸車?が置いてあって。
中には、アジアの織物が飾ってありました。
編み物から糸紡ぎも面白くなった最近、究極は機織りだと思っているので、手作りらしき作品をまじまじと見たり少し触ってみたりしました。中はそれほど広くなく、くるっと一周まわって帰ろうとすると、そこに木で作られた、何とも魅力的なフォルムをした道具が!
何だろう?何だろう?これは何をする道具なんだろう???
これ何だと思います?右の取っ手をまわすと2本の棒が回るだろうことは想像できます。


わくわくして聞かずにはいられず、ギャラリーの製作者に聞いてみると

「綿花を綿と種とに分別する道具で、右の取っ手をまわすと2本の棒が綿花を取り込むように回って、手前に種が落ち、奥に綿だけが落ちるんですよ。メンクリキって呼ばれてます。」


私は、こんなにおおざっぱに見える作りで精密なことができるとは、にわかには信じられず、
「これでホントに種だけが取り除けるんですか???何回もやらないと分けられないんじゃないですか?」
だって、見るからにこれは鋳物ではなく完全な手彫りの木製なんです。スキマもあれば、かみ合うねじ式のところもなんか頼り無さげ・・・


「いいえ。一回できれいに種だけ、綿だけにきれいに分かれるんですよ。これは祭事の時などに織物の象徴として使用されたもので、実用品よりも装飾的に作られた縁起物のようなものです、普通に使われているものはこんなに彫刻がされていませんから。でも、道具としてはちゃんと使えます。」


なんて工夫と知恵!この発明に感動。インドネシアの島で、むかーーしその道具が発明されたことで女性の手仕事はうんと楽になったでしょうね。それによってたくさん織物が織れただろうし。
聞けば聞くほど、アジアの織物が愛おしくなうような話ばかり。
西洋とは、やはりルーツから発展まで違うんだなあと、女性の手仕事の神聖さにうっとり。

それからこれは、私の知らなかったスピンドルのティモールヴァージョン。
何ともシンプルなシルエットだと思いませんか?
小さな小皿の上に丸くなった太い方を当てて、耳かきのようになったところに糸先を引っ掛け、くるくる回し少しずつ綿花をよっていくそうです。


散歩をしていてこんなすてきな話が聞けるなんて、最高で特別な一日でした。
私が出会ったステキな女性は、岡崎真奈美さんという女性。
紫の綿の上に同じ布のロングカートをはいた凛としたきれいな人でした。